志賀高原自然保護センターが「志賀高原ビジターセンター」としてリニューアルオープンして約3か月。
すでに足を運ばれた方も、これから訪れる方も、「展示を見る場所」というイメージをお持ちかもしれません。
でも、本当の楽しみは、その先にあります。
展示で志賀高原の自然や歴史を知ってからフィールドへ出ると、目の前の景色が少し違って見えてくる。
そんなビジターセンターの魅力を教えてくださったのは、この地域で生まれ育ち、長年自然ガイドとして活動されている湯本さん。
志賀高原を知り尽くした”生き字引”ともいえる湯本さんに、お話を伺いました。
~ガイドプロフィール~

湯本 勝子(ゆもと かつこ)
志賀高原のふもとの山ノ内町沓野に生まれ、子どものころから志賀高原の山の恵みを受けて育ってきた。
志賀高原ガイド組合の前身である志賀高原の自然を愛護する会に10年間在籍したのち、
2005年に志賀高原ガイド組合で自然ガイドとして、個人のお客様だけでなく学生団体や企業視察などの案内も担当。
Q. まず、ビジターセンターはどんな場所ですか?

カラフルなウェルカムウォール
そうですねぇ、まずはここへ寄ってもらって、志賀高原ってこんなところなんだな、というのを知ってもらいたいですね。
コースや花の開花状況、池のことなど、気になることはガイドに何でも聞いてください。
少し知ってから歩くだけで、楽しさが3倍くらいになりますよ。
志賀高原へ来るなら、その季節なりに少し計画を立てて来るといいですね。
インターネットだけじゃ分からないこともありますから、映像や展示を見て、『ああ、こういうところなんだ』と知ってから歩くと、景色の見え方も変わってきます。
展示も、30分でも1時間ほどゆっくり見てもらえたらうれしいですね。
Q. ビジターセンター内で湯本さんおすすめの「ここだけは見てほしい!」ポイントは?

まるで包み込まれるような空間で、志賀高原の四季を楽しむ
う~ん、たくさんありすぎて選べないなぁ。
でも、やっぱり大型スクリーンのシアターコーナーと、『ココイコキューブ』。
シアターでは四季折々の志賀高原の映像が楽しめます。ほっと一息つきながらご覧いただいている方が多いですね。
いろんなデザインの椅子を設置していますが、座り心地だけでなく、実は触り心地もいいです。木彫りの熊もかわいいですよ。

ココイコキューブで志賀高原の「なぜ?」を解決!
ココイコキューブは、展示を見ていて『なんでだろう?』と思ったことを、クイズをしながら覚えられるようになっています。
実は私も制作に関わりました。今まで志賀高原で学んできたことや、それらにつながるたくさんのできごとを思い出しながら作りましたよ。
触れて学べるコーナーは、簡単な操作で小さな子どもさんでも楽しめます。
(地元の幼稚園児たちが見学に来たときは、本当に可愛かったなぁ。キラキラした目で、いろんなことを学んでくれました)
どんどん触っていろいろ試してみてほしいです。
Q. 展示を見たあと、ぜひ歩いてほしい場所はありますか?

東館山高山植物園のニッコウキスゲ(7~8月が見頃)
これは季節によって違うんですよ。
これから7月から8月にかけては、夏はニッコウキスゲ(東館山)が鮮やかにスキー場の斜面を彩ります。夏の東館山高山植物園は高山植物がいろどる楽園みたいな場所になります。
そういえば、あなた(スタッフT)がまだ高山植物を何も知らなかったころ、一つひとつ説明しながら一緒にゆっくり歩いたこともありましたね。今でもいい思い出だね。
春はワタスゲ(田ノ原湿原)、夏は石の湯エリアで日本一ずくめのゲンジボタル鑑賞、秋になれば白樺やナナカマドの紅葉など、季節によっておすすめが変わります。

展示の一部、グリーンタフは約1600万年前の海底火山活動の名残
そしてもう一つ、展示と実際の景色をつなげるっていう楽しみ方もあります。
ビジターセンターに大きな岩がありますよね。あれはグリーンタフという岩なんですが、奥志賀へ行くと実際に見ることができます。
展示で見たものを『ああ、これか』って現地で見られると面白いですよ。
詳しいことはガイドがいれば何でも説明しますから、気軽に聞いてください。
Q. 長年この地域を見てきて、一番好きな風景はありますか?
私はやっぱり渋池とひょうたん池かなぁ。渋池は志賀高原で唯一浮島*がある池、ひょうたん池はとにかく静寂の地。
どちらも緑豊かな森に囲まれていて、青い水面を眺めていると、自然と自分が一体になっていくような、吸い込まれるような気持ちになります。
*浮島=分解されずに堆積したミズゴケなどの植物遺体を土台として、モウセンゴケなどの湿原植物が生えている場所

初夏の渋池
森というのは、深呼吸したくなる空気を育てている。特に落ち込んだり疲れているときに来ると、気持ちが落ち着く場所です。
80年ほどこの辺りで過ごしてきたけれど、渋池の水の色と浮島があるあの景色は、今でも私にとって安心できる景色だね。
Q. この景色を未来にも残したいと思う理由は何ですか?

私がこの景色を未来にも残したいと思うのは、長くこの場所で暮らす中で、知ることによって、この自然の大切さに気づいてきたからです。
志賀高原は昭和24年に国立公園に指定されましたが、当時4歳だった私は、そんなことも、この自然がどれほど貴重なものなのかも知らなかった。ただ、山があって、森があって、自然の中で暮らすことが当たり前。
でも、湿原が何千年もの時間をかけてつくられていることや、そこに息づく植物や動物の営みを知るたびに、「この場所は本当にすごいところなんだな」と感じるようになりました。
冬に山の厳しさを感じたこと、夏には野生動物との出会いも数えきれないほどありました。
厳しさも豊かさも含めて、この自然は私の人生そのものであり、心のよりどころです。
だからこそ、この景色をただ残すだけでなく、訪れる方にもこの場所のことを知ってもらいたいですね。
知ることで愛着が生まれ、大切にしたいと思う気持ちにつながっていく。
その思いが、未来へつながっていけばいいなと思っています。
Q. 初めて訪れる方に、ぜひ伝えたいことはありますか?
とにかく一度、志賀高原に来て歩いてみてください。できれば、ガイドと一緒に歩いていただきたいですね。
高原の風景や季節の花々、湿原の成り立ち、この土地に息づく歴史や自然の営みなど、知れば知るほど志賀高原はもっと面白く、もっと好きになる場所です。
ガイドと歩けば道に迷う心配も少なく、野生動物との付き合い方も安心です。安心して自然を楽しめますし、夫婦喧嘩もしなくて済むかもしれないね。(笑)
ビジターセンターで学び、フィールドで出会う
展示で地域の自然や歴史を知り、そのあと実際に歩いてみる。
「あ、展示で見た花だ。」
「この地形にはこんな成り立ちがあったんだ。」
そんな発見が一つ増えるだけで、志賀高原の景色は少し違って見えてきます。
観光協会 スタッフTより
私にとって湯本さんは、高山植物のお師匠でもあります。
県外出身の私に、この土地の自然や植物、歴史について、いつも惜しみなく教えてくださる存在です。
お話を伺っていて改めて感じたのは、「知ること」が、この場所を好きになる第一歩なのだということ。
ビジターセンターは、展示を見るだけの場所ではありません。
ここで少し立ち止まり、この土地を知ってから歩くことで、志賀高原の自然はきっと、これまで以上に豊かに感じられるはずです。
今年の夏は、ぜひビジターセンターから、志賀高原の旅を始めてみませんか?
ご来館時にデジタル会員証をご提示いただくと、限定のデジタルバッジ&ノベルティ(先着順)をプレゼント。
お立ち寄りの際は、スタッフまでお声がけください!
詳しくは:https://www.shigakogen.gr.jp/event/20522.html
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